さわっても熱くない花火

ちょっとした驚きを食べながら生きています

Anycaでテスラ モデル3を1ヶ月ほど貸してみた

みんなげんきー?
私は元気すぎて、納車から4ヶ月しか経ってないのに19558km走っちゃったよー てへぺろ(・ω<)

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19558km

yanoshi.hatenablog.jp



…はい。我ながらいっぱい走ってるなっておもっています。まぁ四国行ったくらいだしそりゃね。
yanoshi.hatenablog.jp


ただ走行距離の増加の要因は別にもあります。そうです。購入記事にも書いたようにAnyca(個人間カーシェアリング)のオーナーをはじめました。

Anycaはじめました。 我が家の周りのお友達の皆さんはもちろんのこと、 「テスラ気になるけど、試乗じゃ乗り足りない!」とか 「えっ、2021年モデル気になるんだけど」なんて方々にぜひご利用いただけると、私のお財布のHPが少し回復しますw 燃料代を請求しない太っ腹な設定なので、割とお得だと思うぞぉーぜひぜひ

テスラ モデル3、買っちった/// (ロングレンジ 2021年モデル ギガ上海製のレビュー) - さわっても熱くない花火

そんなAnycaを運用したログを書き残しておこうと思い、記事を書きます。
出オチなのですが、実は今は貸すのをやめています。お察しの通り色々とあったわけですね。なるべく客観的なコメントを書いているつもりですが、Anycaファンの方が見たらきっと思うところもあるかもしれません。そんな方にはブラウザバックを推奨します。

ただ、短い間ですが、それなりの売上を達成したので何らかの知見はあるかもしれません。個人間カーシェアリングは最近度々ネガティブな話題として上がる事も多く、この記事を書くべきか悩んだところもあるのですが、個人的には割とフラットな感情をいまだに持っているので、今後個人間カーシェアリングをやり始めようと思っている人の何らかの役に立てばと思い記載しました。


Anycaをはじめようとおもった経緯

維持費を圧縮したいという思いがありました。明らかに色物な車なので人気が出るとも思いましたし、既存ユーザーも強気な価格設定でした。
モデル3に関する情報は出ていませんが、モデルSについては2019年のAnyca人気ランキングトップ4位を記録しています。
dena.com

そんなこんなで借りてもらえる目算がありました。
また、長年カーシェアリングユーザーをやってきたので、人が乗った車を運転することにはそこまで抵抗感がありませんでした。

貸し出し実績

3月末から4月末まで1ヶ月ほど運用し122,800円の売上がありました。
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詳しい内訳はこんな感じです。

  • 問い合わせ数: 19人
  • 貸し出し件数: 8件
  • 売上: 122,800円

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想像以上に問い合わせが来てびっくりしました。はじめの1ヶ月なのでサービス利用料の1割は無料なので、実際長期運用した場合は11万程度の売上ポテンシャルだったと思います。
ちなみにブログを見て借りてくれた人は観測する限り居ませんでした。Anycaのプラットフォーム内での流入でここまで借りてもらえるとは…割とユーザー規模があるんですね。

価格設定とその値段にした理由

私はこんな感じの価格設定にしました。

  • 価格設定: 12,000円 (途中から13,000円に)
  • 平日割引: -3,000円 (途中から-1,000円に)
  • 連日割引: -1,000円 (途中から-2,000円に)
  • 電気料金: 無し (ガソリン車と違って満タン返しがしにくい & 道中の充電を渋られても困るため)
  • 走行距離制限: 300km/day

個人間カーシェアリングの難しいところが価格設定かな?と個人的に思っていました。なのでそれなりにリサーチしたつもりではあります。
家周辺のモデル3やそれと競合しそうな車の価格設定を眺めたところ、18,000円くらいを設定している人と、10,000円位を設定している人が見受けられたので、その間を取ってこれくらいの価格に落としたというところがあります。
というのも事前にレビューを眺めていたのですが、下記のような傾向を感じまして。

  • 18,000円くらいの価格帯の車に付いているレビュー
    • 車種に関係なく全体的に「高級車」として借りている雰囲気
    • 「非日常」とか「素敵な車でした」とか「とてもきれいで」と言った単語が散見される
    • 逆にここにギャップを感じたユーザーは辛辣なコメントを入れている例があったり
      • ex: 車に私物があって怒っている人 / モデル3のソフトウェア不具合を踏んでキレている人 等々
  • 10,000円以下の価格帯の車に付いているレビュー
    • 普通のカーシェアリングの感覚で借りてそう。この値段で色物車種に乗れた人は「お得!」って感じがありそうな雰囲気
    • 事故系のトラブルはなんだかんだこの価格帯が多そう (そもそも母集団が多いから仕方が無いかもだが)

雰囲気からして、適切な層へのアプローチと期待値調整が重要というような気がしました。
私のカーシェアリングに対するスタンスは「おもしろい車にせっかく乗っているので、みんなに楽しく使ってもらって維持費を圧縮したい」という思いだけです。なので、過度にきれいな状態を保つことは難しいと思い、不幸な期待値のズレが生じないような価格設定に心がけました。
また当然ながら、それなりの値段の車なので運転技術が未熟な方や、そもそも荒々しく運転されるような方にはなるべく当たりたくないとも感じていたため、過度に安くするのも避けました

ただ、とは言うものの全く借りられないとレビューが育たず、いわゆる「鶏卵」な状態に陥るのもさけたかったため、初期の平日割引は多めに設定していました。

思ったこと / 起きたこと

1ヶ月しか貸さなかった割には色々な出来事があり、色々な事を思いました。それらをいくつか書き残しておきます。

想像以上に借りてもらえる

掲載してすぐから結構連絡が来ます。びっくりしました。
てっきり家の周り(首都圏)の方ばかりかな?と思っていたのですが、2021年モデルのギガ上海製というところが思った以上に皆さんにウケたようで、遠い方では静岡からいらっしゃった方もいました。嬉しい悲鳴ですね。

みんな長距離を走ってくれる

この時点で想像容易いと思いますが、皆さん設定上限レベルで走行してくださいました。現在の総走行距離2万kmのうち5000kmくらいはAnycaのみなさんが乗ってくださった距離だと思います。
「距離料金を請求しないほうがいっぱい借りてもらえるだろ」と日和って距離料金を請求しない形にしていたのも相まってだと思います。

一度貸し始めると価格調整やルール変更がしにくい

さて、そんな感じで貸し始めて、色々な課題を感じ始めます。早く改善しなきゃ!
しかしながら利用料金以外の細かなルール等を変更するのは、想像以上にめんどくさいことに気が付き始めます。
Anycaには、距離料金やガソリン代を請求する機能自体は存在しますが、それをシステマティックに行う仕組みありません。それをどのように活用するかはユーザーに任せられていて、「ガソリン代として〇〇円払ってください」というやり取りは全てユーザーに任せられています。
これらをルールとして記載するような形になっているのですが、それは書き換えた瞬間から反映されてしまうので、既に借りた人にも反映されてしまうようです。(利用料金については予約成立時の情報が使われるのですが…)

初期で数週間先の予約を取られた方も居て、それらの方に「ルール変えました!距離料金取りますね!」って伝えるのは面倒くさいですよね…
そんなこんなで借りた人に不利益を与えそうな項目の変更は慎重にならざるを得ませんでした。私の場合はGWから先に予約が入らないように調整して、GW中に詳しく見直そうかな?と思っていた感じでした。

Anycaのやり取りはアプリからしかできない

2021年現在、Anycaでは予約やドライバー/オーナー間のやり取りについてはスマホアプリからしか出来ません。
1ヶ月に2回とか3回くらいしか問い合わせが来ない状況であればこれで良いのでしょうが、1ヶ月に19人からやり取りが来る状況において、パソコンによる入力に慣れている私にとってはこれは苦痛でしかありませんでした。
そんなこんなで結局BlueStacksを利用してPC上でやり取りを実施できるようにしてみました。ちょいちょい心配な挙動もありましたが、まぁ便利って感じでしたね。
www.bluestacks.com

素敵なドライバーさんもいっぱいいました

すごく丁寧なやり取りをしてくださる方。
丁寧に感謝の言葉を伝えてくださる方。
長期間借りてくださり、わざわざ返す前に車内の掃除をしてくださった方。(若干過剰品質という感じがして、逆に恐縮してしまいましたが…)
大多数は気持ちよく貸すことが出来た方々でした。
いや、大多数なのかな?8割方というところかもしれませんね…

色々な(意味深)人が借りていく

色々な人がいました。「テスラ」などという変な車なだけあって、ちょっと濃い人が多かったように思います。
特に環境問題等について熱く語ってこられた方はちょいキツかったですね。私は別に環境保護に対して熱い思いがあって買ったわけではないので、「知らんがな」って感じなんですよね。

そこまで世間話は嫌いな方ではないものの、やっぱりコミュ障オタク寄りなので、若干価値観の合わない方と雑談をする必要が出てくると、じわじわとストレスを感じてしまいました。
しかしながらぶっきらぼうな対応をすることで、レビューを低く付けられるわけにも行かず…やはり客商売は私には向いていないのでしょうね。

レビューが難しい

Anycaにはどうやら「☆5がデフォルト」みたいな文化があるようです。特に違和感を感じなければ☆5(最大評価)をつける…みたいな和製SNSや和製C2Cサービスにありがちなあれですね。
しかしそんなこと、おそらくオーナー側にしかわからないことでしょう。あんまり気にしていない利用初期のドライバー側にとっては「☆3がデフォルトで、プラス/マイナスしていく」みたいなマインドで評価をつける人も居ることでしょう。

この辺のギャップの結果、ガチャで上記のようなマインドを持っているユーザーを初期に不意に踏んでしまうと平均点数が下がってしまうという事象がありました。私の場合は、かなりポジティブなコメントを書いてくださっているのに☆4の項目があると言う方に出会ってしまい、初期で平均点数が周りのユーザーよりも低いという状況に陥ってしまい、戦々恐々とする事態となりました。*1
これは別にドライバーが悪いとか云々ではなく、そもそも☆5段階評価でユーザーを評価する設計がC2Cサービスに向いていないというような点もあるんじゃないかと思っています。

個人的な感想ですが、こういうC2Cサービスにおいては「+1」と「-1」の2段階評価をしつつ「良かった点」みたいなのを細かく選択できるような加点方式のほうが良いのじゃないかな?と思ったりしています。どうなんでしょうね。

事故られてしまった

さて、これが一番きつかったですね。


当事者間の話ではあるので、あまり詳細は記載しませんが、ホイールをすられた程度の話です。ただ結構ガッツリタイヤも含めて傷が入っていたので、テスラのサポートとも連絡を取り、安全性のことも考えてホイール交換+タイヤ交換の運びとなりました。計11万円程度です。
「万が一シェア中にバーストしたらオーナー責任になりかねない」と考えて、そのタイミングで入っていた予約分については全てキャンセルの手続きをとりました。(26,000円ほどの機会損失)
ホイールの傷程度のアレなので、道路に傷がついていなかったらしく、結局事故証明は取れなかったみたいです。なおかつAnyca指定の保険の免責枠は現状10万円なので、私としては「保険を使ってもあんまり差がないし、保険屋が介入すると絶対めんどくさくなるだろうから、手間を考えると保険屋とやり取りしないほうが楽だろうに」と思っていました。
しかしあくまでも自動車保険の被保険者はあくまでもドライバーさんです。ドライバーさんは保険を頑張って使う事を選択されました。


その結果、予想通り保険屋さんは払わない方向へ話を持っていこうとされました。「ちょっとした傷も入ってる新品じゃないホイールの交換なんだから、8割くらいしか払えない。結果免責枠内に収まるから保険屋としてはお金払いません。」みたいな反応が来たようで。
はじめはドライバーさんもその言葉を真に受けて「8割しか払わない」みたいなレスをしてこられたり。仕方がなく個人間カーシェアリング契約の「損害発生時の責任分担」の条項についてつらつらと説明することに。「今後の安全性の問題もあって交換した。そもそもこの事故がなければ交換していないわけだし。それにキャンセル分の機会損失とかについては不問にしていたりするんだけども…」みたいな説明をして、思い直してもらう羽目に。(このあたりについてはAnyca側に損害発生時の責任分担の条項について確認したところ、認識はだいたい正しそうです)


で、時間がかかった結果、1ヶ月ほどでやっと解決しました。どうやらドライバーさんは保険屋さんの説得に成功されたようで、保険屋さんから免責外の1万円強と、ドライバーさんから免責分の10万円を受け取ることが出来ました。


はい。見ていただいた通り、なかなかしんどかったですね。
被保険者はドライバーさんというところが話のややこしいところでして。私が「いつテスラの工場に持ち込むか」って話等も直接保険屋さんに伝えることは出来ず、全てドライバーさんを挟んですすめる必要があり、その時点で面倒くさいわけですが…更に輪をかけて、ドライバーさんが保険屋さんとのやり取り等にも慣れていなさそうで、すったもんだーって感じですね。
私としては「数万円以上の工数が掛かるって…保険屋挟まない方が絶対良いよ」って気持ちを持っていたのですが、そのあたりの判断って場数が無いと出来なさそうですし、やむを得ないかな…という感じですね。


余談ですが、この事故られたドライバーさん、他のドライバーさんと違って割と若い方で、もしかしたら若干運転経験が未熟だったのかもしれません。かつかなり初期に予約してくださった方(=平日割引が大きかった時)でした。値段はまさしく良い感じに安い時。値段帯でユーザー層をゾーニングできるだろうと仮説を建てていたにもかかわらず、結局その憂慮していた課題を踏み抜いてしまった感じがあります。

所感: 個人間カーシェアリングは難しい

そもそも、個人間カーシェアリングの仲介業ってのは、法的解釈が難しい存在です。御存知の通り、割とグレーなところを攻めているビジネスな側面があります。
Anycaとしてはそこはかなり気を使っているでしょうし、事実サービス設計からそれが見て取れます。「あくまでも個人と個人が車を貸し借りしている。Anycaはその手助けをしているだけ。」というスタンスが取れるように、随所に「UXが低下してでも敢えて一歩引いている」ような場所がいくつもあります。


燃料代の請求の仕組みもそうでしょうし、予約の仕組みについても敢えて多機能にしていないのかな?と思っています(仮予約とかそういうステータスがあってもいいのに、それらも無い)
まぁなので何かとオーナーには負担がかかります。基本的に予約に至るまでに専用チャットを用いた様々なやり取りをする必要があります。これはなかなか手間が掛かります。ある程度テンプレ文を作ってコピペで初回返答できるようにすることで、割と柔軟に対応できるようになったので良いのですが、そういった工夫が必要だったりします。
また、やり取りがいっぱいになってくると「検討中」の日程みたいなのもいっぱい出てくるので、それらの管理もしないといけません。じゃないと最悪ダブルブッキングみたいな状態が発生しかねないのです。予約をオーナー都合でキャンセルすると承認率が下がってオーナーの評価に直結するというのもまたややこしく…(予約に関するやり取り中に、別予約を問答無用で入れてきたユーザーが居るとめちゃくちゃややこしくなるが、Anycaは予約前にメッセージでやり取りすることを推奨している…)
私は結局スプレッドシートを使って諸々管理するようにしましたが、そもそも面倒くさいですよね。

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管理の例


ただでさえ、客商売は得意じゃないのに、毎日これをやるのは結構なMPの消耗でした。
極めつけが上記の事故です。話によるとレンタカーの事故率は1%程度らしいので、普通にこのペースで貸していると1年に1回は何かしらの大きなトラブルに遭遇するって計算になります。(引用: カーシェアサービスAnycaで事故が起きるとどうなるか | Jailbreakers.Info)(ソースは若干不確かだけど)
今回小さい自損事故だったため余計に消耗したのかもしれません。逆に大きな事故の方がちゃんと保険屋が入ってくれるため、楽だったのかもしれませんが、まぁそれはそれで嫌ですよね。


そんなこんなでちょっと疲れてGW以降貸す気力がなくなってしまいました。

今後はどうするか?

私が消耗していた間、どうやら他にも消耗している人が多くいらっしゃったようです。モデル3をアクアラインでかなりの速度超過走行されてキレている人もいましたよね。車を売り飛ばされる事件も発生しているとか。


私としては、そもそも現状のままのスタンス(性善説 & ユーザーのリテラシーが一定以上保証されている前提)で設計された、「運営がほぼ介在しないスタイル」というのには既に限界が来ているように感じました。そもそもサポートダイヤルが夕方には閉まるし…
パチンコの三店方式じゃないですが、上手く法的解釈によって合法的にユーザーをサポートする仕組みを構築して欲しいなと思っています。


そんな事を思っていたら、どうやら彼らも同じことを思っていたようです。
prtimes.jp
保険屋さんにサポート業務を任せるみたいですね。まさに上手く三店方式を構築したんだなって気持ちです。
読む限り、色々と課題に感じていたところがこの施策で解決されてそうな雰囲気はあります。


実際にこの施策がサービスインして、様子を伺ってから復帰するかどうかを考えようと思っています。私としては基本的にはAnycaを応援しています。頑張ってほしいなー


なにはともあれ、モデル3を貸せば、その気になれば月10万円以上の売上になることが確認できたのは良い収穫でしたね。確実に生活が楽になります。
家に専業主婦の奥さんが居る…とか、家に大学生の子供が居る…とかであれば、もっとスムーズに回せるんだろうなぁと思う今日このごろでした。

*1:もしかしたら本当に不満がある人だったのかもしれませんが、そこはもうわかりません