さわっても熱くない花火

ちょっとした驚きを食べながら生きています

きっと青春が聞こえる (ラブライブ!感想文)

ごめんなさい。舐めてました。


コンテンツをただただ消費し続ける純然たる消費者の私は、謎の使命感に駆られてラブライブ!の映画を見ようと思いたちました。*1
「予習のためにアニメも見ないといけないなぁ」ということで、ラブライブ!1期,2期を先日の金土日で消化。続く月曜日に映画(ラブライブ!The School Idol Movie)を視聴。



ホント舐めてました。ごめんなさい。
何かしらアウトプットしておかないと、頭の中がグルグルして何も手につかなくなりそうだったので、駄文を認めます。
ただの感想です。あとネタバレ含みます。


目次

初期状態

この前の土日までの状態

  • ラブライバーではない
    • 周りにもそんなにライバーは居ない
    • 後輩には居たりする
  • スクフェスもやったこと無い
    • 上に同じく
  • ドルオタではない
    • アイドル曲は聴いているが
    • かわいい曲は正義である
  • 体育会系ではない
    • スポ根系は苦手
  • 4話までは2期開始直後に見た
    • 実はそこで力尽きてた
  • 2期開始直前にラブライブ!関連CDは全部借りた
    • かわいい曲は正義だ
  • ファッションオタクが多そうだし、面白いか疑問を感じていた
  • 割と単純
  • 作り手の意図は汲み取りたい

1期を見ている時の私

見始めました。





某赤い子に対するコメント


よこしまな心


小並感




8話のラストを見ている時の私



全話見終わった感想


正直この時点ではそこまでの魅力を感じませんでした。
作画が崩れているポイントも結構有りましたし、一部棒読み声優が居るし、ストーリーはベタだし、スポ根感あってスポ根苦手な私には辛い感じがあったし、最終話のラストが「え?これで終わりなの?」って感じだったし、ことりちゃんが急にアメリカ行きをキャンセルできることに違和感しかなかったし…

2期を見ている時の私

見始めた


1話冒頭のにこちゃんのセリフを聴いて




アライズによって急激にHPを削られている図



ふと感じる違和感




5話を見ながら







6話を見ながら




7話を見ながら


8話を見ながら。ちょっと消耗



9話を見ながら



メンバーがそれぞれの好きなことを口にするシーンの演出に感動し、その後のSnow halationに「やられたぁ」ってなってる時


10話を見ながら



絵馬のシーンを眺めながら


11話冒頭で


浜辺のシーンで




これでもかという泣かせシーンのオンパレード。おのれ演出。


12話冒頭で





ここでいろいろなことに気がつき始めます。
お詫びを宣言

良い。

ライブ直前の掛け合い、ほんとよかった。




そして穂乃果ちゃんのコメントがまた…


大会なのにまさかのアンコール。ずるいよ!この演出!





最高である。



そして最終話


もはやおかしくなっている。穂乃果ちゃん成長したよね。
この演出がまたずるい!



まだ涙腺が刺激されるとは思っていなかった。









もう演出がすごいとしか言いようがなかったわけで。
ストーリープロットはびっくりするくらいシンプルでベタなわけで…
でもそれ故にみんなが経験したことがあるような問題、不安、楽しみ、感動がそこにはあって…
それらを丁寧に全部拾い上げて、嫌味なく散りばめた感じでした。
びっくりですね。言葉で説明すると三行くらいで終わっちゃうようなストーリーなのに、こんなにもグッと来るシーンのオンパレードとは思いませんでした。

映画を見る前の私

「映画、どうするのかな?如何にも映画用に作った感のあるストーリーになったりしないかなぁ」といろいろと不安を感じていました。

映画を見た後の私



全体の感想

私のスタンスは基本的に「純然たる消費者たる者、作り手の意図をしっかり汲み取って、その上でコンテンツは消費し無くてはならない」なので、そのような価値観で感想を書きます。
といっても、構成や演出を作っている人の意図を勝手に妄想して、勝手に感動しているただのエゴでしか無いので、そこの点は悪しからず。

この作品って、「アイドルの楽しみ方」を提示していて、μ'sは「アイドルの理想状態」なのかな?と思いました。

「アイドルの楽しみ方」

「アイドルは成長を楽しむもの」
「アイドルは歌とか踊りとかのクオリティを楽しむというより、その存在から元気をもらうもの」
という価値観があることは以前より知っていましたが、μ'sはそれを体現し分かりやすく示してくれたんじゃないかと思っています。
正直これまではそういった価値観は理解できていませんでした。基本的に曲やPVというソフトウェアとしてのアウトプットを重視するタイプで、アイドルというハードウェアには余り興味を示してこなかったので…

各作品群で表現されている物も

  • 1期: 日常、各キャラクターの初期状態を提示
    • 主にキャラクター紹介
    • 見ている側は、好きなキャラクターを見つけられる
    • 困難と解決
  • 2期: サクセスストーリー
    • 上り詰めていく
  • 映画: アイドルとしての完成形
    • しかしそれは一瞬の夢

と言った感じです。


みんなが思い描いているアイドルのある意味の理想形がそこにはあります。

応援して共感して感動して、やっとアイドルになるんだけどそれは儚くて、でもそれでもよくて…
そんな存在こそアイドルなんだぞ!

ってことを示してくれていた気がします。

成長

当作品ってまさしく、μ'sの成長物語ですよね。
1期では部活を作って、なんとかグループを作ってライブをして廃校を阻止して、
2期ではラブライブ出場を目指して頑張って、優勝して卒業して、
映画では部活以上の存在、まさに本物のアイドルになって、アイドルの夢(ミュージカルや、ニューヨークでライブや、路上で大人数でライブ等)を実現して、
そして伝説になって消えていく。

でもちょっとまてよ?
もしかして新人声優を起用したり、わざと余り上手じゃない人をアサインしたりしているのも、作品終盤に行くごとに成長が見れるようにするための「演出」なのか!?

ってことは、ラブライブ!関連CDとそのハイレゾ音源とで明らかにマスタリングの技術レベルに差があるのも、
「序盤の曲は、演出上完成度が高かったらいけないから、わざと音割れさせとくね。一応私達にはちゃんと技術力があるってことをハイレゾでアピっとくね」
ってことなのか!?
http://tmt481.blogspot.jp/2014/05/cd.html

邪推かな?



「アイドルの理想状態」

μ'sは「なお空気抵抗はないものとする」といった一種の理想状態なのではないかと思います。
友人は当作品のことを「考えるな感じろ!」と前々から言っていたのですが、その意味がよくわかりました。

基本的に日常生活は雑多なものです。
お金、仕事、進学、就職、課題、レポート等日常生活でありがちな問題から、
撮影、編集、販売、行政との交渉等アイドル活動における様々な事まで…
物理的制約が付き物です。

ラブライブ!という作品は全体を通して、「アイドルを魅力的に演出する」ための物理的制約以外をほぼすべて排除した、「アイドルの理想状態」を提示した作品なのではないかと思います。

作品に登場する物理的制約(ex. 真希ちゃんが医者にならないといけないとか、赤点取ったらラブライブに出ちゃダメとか…)はあくまでもキャラクターたちが成長するために必要な困難であり、そういった類の物しか登場していないように思います。

そのため成長してきた1話の後半から、色々と非現実的な事が起こり始めます。*2
2期になると、誰も3年生組の進路の話をしなくなります。
映画に至っては、「どうやってそこ借りたの?」とか「突然だったのにどうして衣装があるの?」とか「アキバ貸し切り!?」とか突っ込んでたらキリがありません。

でもきっとそれで良いと作り手は思ったのでしょう。
だって、この作品はあくまでも物語。
視聴者が楽しんで喜んで涙して感動できればそれで良いわけですから。

「俺達が考えた最強のアイドル」が提示できればそれで良いと考えたのでしょう。

それに、作り手は何度も「そういう心構えで見てね。これはフィクションだから突っ込んじゃダメだよ?」と様々なポイントで私達に指示をしてくれています。
とりあえず、初期の頃からPVシーンには現実味がありませんでした。あの時点で優秀な消費者はきっと気がついていたことでしょう。私も気がつくべきでした。反省です。

不安を取り除く演出

近頃のアニメはどんでん返しが多いです。
「ベタな展開と思っていたか!?それは嘘だ!(デデーン」
と言った突然の展開な作品が結構ありますし、それが好まれる傾向にあります。(そういう作品も好きです)

ですがそれ故に、近頃のアニメ視聴者は常に警戒している節がありませんか?
「もしかしてここで…」
「あーーそんなことをしていたら…」
といったある意味の危険予測をしながら見てしまう経験ありませんか?

私が思うに当作品はそういった無粋な連想を極力生まないようにかなり気を使って演出されているように思います。

まぁそもそもオタクという存在自体、割と暗い何かを抱えている場合が多いので、ネガティブシンキングなパターンが多く、こういった演出は如何にも「オタクのため」とも捉える事ができますよね。


恋愛要素を極力避ける

基本的に男性の顔は出てきません。

別に男性が「汚れた存在」とは考えては居ないのでしょうが、基本的に色恋沙汰はゴタゴタが付き物です。こじれねじれあぁつらい。


しかしながら、恋愛感情に近い甘酸っぱい感情はアイドルとしては必要でしょう。
ということで少々百合っぽいシーンが有るのだと思っています。
(ex. 花陽ちゃんが凛ちゃんに対して思わず「抱きしめたい」と言ってしまうシーンや、アライズメンバーと真希ちゃんが良い感じの雰囲気になっている所を驚愕した顔で覗き見しているにこちゃんシーンとか…)
でも、それはあくまで甘酸っぱさだけで、関係がこじれるほどの恋愛感情ではない…そういった意図なのでしょうね。

余談ですが、さすがに映画にまでなると、「視聴者ももう変な危険予測はしないだろう」と作り手も思ったのか、割と危なっかしいシーンが増えてきます。
迷子になるシーンとか「あ!これ同人誌のネタになるやつだ!」と思った人も多かったと思います。


謎の未来からの使者(?)

映画では、謎の人物が穂乃果に道を示してくれます。
私はあれは未来からの使者であり、大人穂乃果なのではないかと勝手に思っています。

見終わった直後は「どうしてそんな演出にしたの?」と疑問符が出っぱなしだったのですが、これも不安を取り除くための演出だと考えると、しっくりきました。
あくまでも私の妄想でしか無いですが…

当作品では映画に至るまで、「未来のμ'sはどうなっているか?」という暗示はありません。
なので当然こう思う人も居るわけです。「変な男に引っかかったりしないかな?」とか「挫折して潰れちゃったりしないかな?」とか…
そういった不安を取り除くために、未来の穂乃果の姿を見せているのかな?と思った次第です。

共感の全方位射撃

共感できるキャラクター

共に映画を見に行った@fist0 とも話していたのですが、9人ってバランスの良い人数ですよね。
ダンスのフォーメーションとしても非常にやりやすい人数ですし、ユニットを作るにしても、またキャラクターのバリエーションとしても…
当作品のキャラクターはとても分かりやすい性格をしています。
まさに「そういうキャラクター」のテンプレートに当てはまっている…といえば良いのでしょうか。

視聴者として見ると、共感できるキャラクターが一人は居るのではないでしょうか?
ここで言う共感は、性格はもちろんのこと、「こうなりたい!」とか「こうなりたかった!」という偶像的なリスペクトも含んでいます。

共感できる「問題」

μ'sのメンバーは様々な問題にぶち当たりながら、成長していきます。
家の事情、嫉妬、見栄、劣等感、うっかりミスから重大なミスまで…
しかしそれはどれも、「あるあるネタ」であり、みんなが誰しも似たような経験があるのではないかと思えるシチュエーションばかりです。

しかしメンバーたちは、驚くほどの純粋さとキレの良い返し文句、歯に衣着せぬ物言いでそれらの困難を克服していきます
まさしく感動です。
「こう生きたかった。こうなりたかった。こうなりたい。」と我々は思い、共感と作品への感情移入が深まります。

女性層や体育会系寄りな人でも共感できる演出

全員で挨拶するシーンはかなり中学校時代の女子の部活シーンを思い出しました。男性に媚びているアイドルって印象ではありませんよね。
また根性で乗り切る体育会系っぽい展開もあったりとか、様々な層が共感できるような演出がなされていたように思います。

その他

動物の描き分けについて

アルパカやリス等、感情がありそうな動物の目は明らかにアニメ絵になっています。
しかし、神社に居た馬等の動物の目はリアル画風となっています。

単に背景としての存在とキャラクターとしての存在を表現しているだけなのでしょうけど、目が行っちゃいましたね。

アライズの存在について

ARISEは明らかにμ'sと対比的な存在です。
作り手は、「アイドルの他の選択肢」という共存という意味で彼らを描いているのかな?
「μ'sはあくまでも局所最適解であって、他の最適解もあるよ!」ということなのでしょうか?
最後に手を取り合ってライブをしているところから、そう解釈しています。


余談

μ'sのメンバーってホント優秀

こんな優秀が一堂に会するとかまじファンタジー…
「奇跡」を連呼していたのも頷けるよね。

PVパートは4倍速液晶で見るべき

正直24fpsではPVパートは辛い。
映画も現時点のモチベーションなら、BDを買ってお家のテレビで見直さないといけない気分。

映画パンフレットのメンバーの順番ってどういうアルゴリズム?

解釈できなくもないけど、やっぱりどういう順番なのか分からない。
わけわかんない。

いつからこのような展開にしようと思っていたのか?

映画まで見て、ホントに狐につままれた気分でした。
だって、違和感を感じていた部分が結構あったのに、上記の解釈で「すべて意図されたものだった」と理解できちゃったんだもん…

さて、最後に残っている疑問は、このような「計画」がどのタイミングからなされていたのか…という点です。
もし、ラブライブ!プロジェクトが始まった当初からこのようなプロットが描かれていたとしたら、もう感動しかありません。すげぇ。
ま、多分そんなこと無いと思うけど。作っていったら最適解としてそこに辿り着いたパターンなのだろうね。
でもそんなことは結局チキンオアエッグなわけで、最終的にうまくまとまってればそれでいいよね。


色々ひっくるめてまぁいいや。楽しかったし。
純然たる消費者として最も重要な事は作品を楽しむことなんだよ。








久しぶりにいい意味で裏切られた作品でした。
本当に見てよかった。

ごちそうさまです。




2期以降の曲を揃えなきゃ!(使命感
あともう1回映画見なきゃ!(使命感


どうしよっかなぁー1期2期をもう一度見直してから映画行こうかなぁ…


*1:余りにも流行っているし、一応見ておかないといけないかなと思ったんだ。

*2:アメリカ行きをドタキャンしても怒られないし