さわっても熱くない花火

ちょっとした驚きを食べながら生きています

Google Play Musicにお別れを告げる ~YouTube Musicと仲良くなるために作ったツール(yootto)を添えて~

物事には、始まりもあれば、終わりもあります。しかしながらWebサービスにおいては、完全になくなる瞬間ってのにはなかなかお目にかかれません。

yanoshiです。No music, No Lifeに今日も可愛い曲を聴き続けています。

昨年、愛用していたサービスの1つが終わりを告げました。そうです、Google Play Musicです。

私とGoogle Play Musicの出会いは2011年でした。あの頃は日本でもサービスインをしていませんでした。

そう考えると9年近い付き合いだったわけですし、なかなかにこのサービスが閉じてしまったことはショックでした。

え?「閉じたのではなく、YouTube Musicに吸収されただけでしょ」って?
そう思ってらっしゃる方はいっぱいいると思います。ただ9年も触ってきた身としてはあれは別のサービスだと感じています。 結局色々と触った結果、どうもしっくり来なかったので軽くYouTube Music用のアップロードツールを作ったりもしました。

そんなこんなでGoogle Play Musicの思い出を書きながら、YouTube Musicに感じている課題感と、それを解決すべく仕込んだツールについてつらつら書いていきたいと思います。

Google Play Musicとの思い出

分かる人に伝わればいいなって思います。

出会い

先程も書いたように、出会いは2009年でした。この頃は日本でもサービスインしていませんでした。

当時、ローカルの楽曲をアップロードしてオンラインで聴けるサービスはほぼ有りませんでした。 ウォークマンからの引越し先を考えていた私にとって、これはとても魅力的な機能でした。当時はXperia 10(SO-01B)でFOMAだったので通信量の上限はありませんでしたし。

そんなこんなでプロキシもしくはVPNの力を借りて登録したわけでした。

この頃からPWAっぽい動きをするWebアプリケーションとして仕立てられていました。学校の予算で得たiPadを常用していた身として、これは素敵な機能でした。 当時はiOS(iPad)向け公式アプリは無かったのですが、そんな状況でも割と使うことができました。

適当にごにょごにょすれば、Androidにはアプリをインストールすることができた気がしています。 当時から「アップロードした楽曲を聴く」という機能はほぼ完璧でした。良くも悪くも今と変わりない機能があのタイミングで完成していたのは評価すべき点でしょう。

成長期

さてそんなGoogle Play Musicですが、スマホの進化とともに着実に機能拡張されていきます。

そしてiOSアプリがリリースされ、本格的にポータブルオーディオをGoogle Play Musicに移行していきました。あの頃は有線で聴いていたので、「AndroidスマホよりはiPhoneで曲を聴きたい」みたいな思いがあったりだったり…

yanoshi.hatenablog.jp

その後、日本でも本格サービスインされ、同時に日本でもサブスク音楽配信がスタートされます。

サブスク戦乱時代

Apple Musicが登場し、社会もサブスクに慣れはじめ、いよいよ楽曲も増え始めました。 色々な曲が聴けるようになり、いよいよ有料プランを契約している旨味が出てきました。

この辺りになってくると、ランダム再生の出来とかが気になり始めます。 頑張って「いいね」を押して、学習させていこうと努力するような使い方をしていました。

最近はホント「いっぱい曲がある」状態になってきましたよね。

テクノロジーとしてはさほど進化しなかった

しかしながら、結局Google Play Musicは、技術的にはさほどリリース時から大きな変化がなかったように感じます。 オフライン再生や、安定したストリーミング再生等が、あの頃からしっかりと完成されていたのは大したものだと思っています。

楽曲のFingarprint的なのを取って、うまくジャケットを表示したり、足りないタグ情報を保管したり、彼らのストレージ量を削減したりするアプローチも、恐らくアイデアとしては良いものだったのでは?とは思います。
しかしながらこのアプローチは、ある一定の違和感を与えてきて、それらの判定アルゴリズムはついに改善されることは無かった気がしています。

レコメンドも賢いかと言うと、、、結局変わらなかったかなって感じ。

そして終焉へ

YouTube Musicはどうだったか?

さて、移行先だったYouTube Musicはどうでしょうか。

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まだ慣れない「ホーム/探索/ライブラリ」の区分け

イケてる点

イケてると思う点もあります。

基本的にまともに動作する

Google Play Musicの楽曲、プレイリストを全て引き継いでくれています。 また、ストリーミング再生の安定性、オフライン再生等々はしっかり動作しています。

後釜としては最低限のことをしてくれたかな?って感じですね。

「自動再生」というプレイリストの新たな聴き方

YouTubeにも有る、再生リストで最後まで行くと、勝手に関連する動画を自動再生していくやつです。 あの体験がそのままやってきています。

私は普段、いくつもプレイリストを作りまくっており、かつ基本的に自分にとって新しくてかつ気に入った曲を聴きたいので、以下のような戦略でプレイリスト作っています。

  1. CDをPCに取り込む
  2. まず通しで聴いてみて、気に入った曲をローカル上でCD毎にプレイリストとしてまとめる
  3. ある程度取り込んだらクラウドにまとめてアップロード
  4. まとめて上げた楽曲群の中で、気に入った曲を全て聴けるプレイリストをクラウド上に作成し、アップロード日をプレイリストのタイトルに入れる

このように作られたプレイリストヘビロテするわけなのですが、このプレイリストから発展することはありませんでした。

しかしながらこの機能を使うことによって、新たなレコメンドの形を提供してくれています。(その精度がどの程度かは謎ですが)

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自動再生を有効にしている場合(この状態がデフォルト)

単なるシャッフル+リピート再生の時はそもそもこの機能は働かないですし、もし「このプレイリスト聴き終わったら、別のプレイリストに行きたいから再生終わってほしいな」みたいな時は無効にすれば良いので「いつもどおりの聴き方」ももちろんできます。

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自動再生を無効にしている場合

イケてない点

さて、どんなところに違和感を感じているのかを書いていきましょう。

Google Play Musicがパーフェクトだったとは全く思いません。先に記載の通り色々と思うところがありました。 しかしながら自分の使い方の範疇においては最低限の体験が出来ていたように感じていました。

YouTube Musicではそこがやりにくくなり困っていました。

アップロードマネージャーが滅んだ

Google Play Music Managerという便利なものがあの頃にはありました。あれは滅亡です。ディレクトリ監視はもうしてくれません。 しかしながらドサッとディレクトリをD&Dしたらアップロードしてくれるので、まぁなんとかはなります。

これまで家庭内データサーバーでマネージャーを動かしていたので、「アップロードする」という所作はファイルコピーで完結していました。しかしながら今回はそうは行かなくなってしまったので若干の不便を感じています。

再生回数の概念が滅んだ

これも地味に困っています。

自作プレイリストを眺めながら、「この曲、再生回数伸びてないな。よくスキップしているのかな?もうこのリストからは消しちゃおう」ってやつ、やりません?私はやります。
この体験が出来なくなりました。悲しい。

「高く評価した曲の中から、再生回数でソートして新しいプレイリスト作ろ」ってやつ、やりません?私はやります。
この体験も出来なくなりました。悲しい。

あんまりこういう使い方している人は居なかったのでしょうね。悲しい。

プレイリストがとにかく作りにくい

もうね。これがほんとに困っている点です。

「楽曲を複数選択してプレイリストにD&D」この体験ができなくなってしまい…辛い。

前述したとおり、私は毎度まとめてCDを上げた後、その中から厳選した曲でプレイリストを作ってきました。

Google Play MusicではCtrlキーを押しながら曲をクリックしていけば、楽曲を複数選択でき、右ペイン現れるプレイリストにD&Dすれば、プレイリストに複数楽曲の追加ができました。
この作業を「最近追加した曲」をベースに行えば、そこまで大変な作業とならずにプレイリスト作成を行うことが出来ました。

しかしYouTube Musicではこれが出来ません。プレイリストへの追加はいちいち各楽曲の詳細メニューを表示する必要がありますし、そもそも楽曲を複数選択することが出来ません。

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右クリックで楽曲の詳細メニューを表示した様子

あぁ不便。

そんなこんなでツールを作った

困っている点をなんとかしたい。特にプレイリスト周り。

ってことでサクッとYouTube Musicに曲やプレイリストをアップロードできる何かを作りました。

github.com

Pythonに、YouTube Musicの非公式APIライブラリがにあったので、Pythonで書きました。pipで入ります。 PythonでCLIとか久しぶりに書いたので、かなり雑です。書き捨てのつもりだったのでCI/CDもテストも無くてアレ。*1

日本語READMEはこちら

フォルダ指定で楽曲データをアップロードしたり…

yootto upload music --path="/music/folder/path/"

すでにアップロード済みの曲で構成されたローカルプレイリストであれば、プレイリストファイルを読み込ませるとYouTube Musicにプレイリストを作ったりできます。

yootto upload playlist --path="playlist.m3u8" --title="プレイリスト名"

おまけとして、YouTube Music側のプレイリストと、ローカルの楽曲を突き合わせて、プレイリストファイルを作ってくれる機能もあったり。

とりあえず私が重要視する体験は、これにより担保されるようになりました。めでたしめでたし。

(機能追加したい方はプルリクください。よろしくおねがいします。)

ちなみにGoogle Music Managerみたいなノリのフォルダ監視をしてくれてアップロードしてくれるWindowsアプリケーションもあったりします。

github.com

ただこの子、対象フォルダ内のプレイリストファイルもガンガンアップしちゃう & 何故かプレイリストがうまく上がらない事があり、使うのを諦めてしまいました(2020年12月時点)

私の使い方にフィットしなかっただけなので、もしフォルダ監視を重視する人がいれば、このYTMusicUploaderを使ってみることをおすすめします。

所感

作ったツールのお陰で、なんとかYouTube Musicとも仲良くできそうです。 YouTube Musicは、「レコメンド」という意味ではGoogle Play Musicよりもイケてる気がしていますし、何より楽曲のFingarprint起因(?)の謎挙動にもまだ出会っていません。メタデータ系の動作は非常に素直でその点は気に入っています。

あの頃、早々にiTunesにお引越しして、Apple Musicを使っていればこんな苦労をする必要は無かったでしょう… とはいえ過去のiTunesの不安定さというか、気がついたら曲消されてしまいそうなあの感じを目にしていた身としては、なかなかそんな気にもなれなかったような気もしています。

恐らく、ローカルの曲をアップロードしてストリーミングで聴く…というユーザーはマイノリティなのだと思います。
今回のYouTube Musicの様子を見ていると、これらの機能を有するサービスは近い将来無くなってしまうのかもしれません…
そうなったら、自宅の音楽サーバーにファイル取りに行って、ストリーミング再生する時代が来るかもしれません。時代の逆光ですね。ただ音質面を考えると案外それもありなのかもしれません。

何にせよとりあえず、YouTube Musicのお陰で私のクラウド音楽ストリーミングライフは延命できました。めでたしめでたし。

おしまい。

2/5追記

ついに削除告知がやってきました…涙なしでは語れません…

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削除告知

再生回数情報だけでも救出しておこうかな…

*1:誰か弄りたい人が居たら事前に連絡ください。テストくらいは書いておきます;