(ただのオタクの感想文です)
長い長い梅雨が続いていますね。皆さんいかがお過ごしでしょうか。yanoshiです。
さて、先日の金曜日(19日)に新海誠監督最新作、『天気の子』が劇場公開されました。
tenkinoko.com
「新海誠作品」といえば原体験。そうは思いませんか?
インターネットと共に生きていたあの青春時代。
私も『秒速5センチメートル』では深い傷を負ってしまいました。
『雲のむこう、約束の場所』を見て、言いようもない喪失感に苛まれたあの日も忘れられません。
新海誠作品は好きなんだけど色々と思うところが毎回あって。
いつも新作が出る度に「見に行くよ!楽しみ!楽しみだけど、とっても心配!!!」みたいな複雑な気持ちになっています。青春ですね。
そんな中で大ヒットを遂げた『君の名は。』
後味は良かったと思います。「エンターテイメント!」って感じの作品でしたし。
yanoshi.hatenablog.jp
しかし私はなぜかモヤモヤしてしまいました。何にモヤっとしていたのかはあの当時謎でしたが。今回『天気の子』を見てモヤモヤの理由がわかった気がします。
今回も大変複雑な気持ちで、なおかつ急いで見に行きました。オタクはこれだからめんどくさいんだ。
すごく不安なんですが…いつからだろう。新海誠作品を不安な気持ちで見るようになったのは…
— yanoshi (@yanoshi) 2019年7月20日
新海誠の真骨頂であるNTRオチが久しぶりに出てきたら、わたしゃ青春という概念に押しつぶされてしまうわけなので、すごく心配だわ…
— yanoshi (@yanoshi) 2019年7月20日
しかしながら心配は無用でした。本当に最高でした。本当に。本当に。
minoriのゲームなOPで育ち、「雲のむこう、約束の場所」と「秒速5センチメートル」によって強烈な原体験を刻み込まれてしまったオタクにこそ、「天気の子」を見てほしい……まじ最高だった…
— yanoshi (@yanoshi) 2019年7月20日
救いだ。きっと大丈夫なんだ。
そんな感想文。(前振りが長い)
まるで今年の天候を予測したかのように長梅雨が続く東京が舞台なわけなので、梅雨が明けるまでに見ておいたほうが良いのかもしれません。
以下ネタバレ含
- もうね。まじ最高。
- 『君の名は。』はよく考えたら「普通の人」のための作品だった
- 今作は違う。ちゃんと頑張ったら、ちゃんと結ばれる。破壊的なことにはならない。
- どうやら新海誠監督にしてやられたらしい
- 何はともあれ
- 余談
- 追記
もうね。まじ最高。
セカイ系のテイストを混ぜつつヒロピン有りなボーイミーツガール!なおかつ二人にとってのハッピーエンドで後味もまろやか!最高かよ!
テンポが良くて最高
テンポが良い。面倒な感じは一切なくサクサクサクっと次の展開へ進む感じ。
これだよこれ。って感じ。見たいところがドドっと詰まってる!
賛否は分かれそうだけど、私はとっても好きだよ!
陽菜ちゃんがかわいい
Theヒロイン。むちゃくちゃおねロリかわいい。がんばってるお姉ちゃんって感じ。
表情も豊かで、健気で優秀で、でもいつも大体笑っていて、可愛いドヤ顔もしてくれる。
ロリかわいすぎない?と思っていたら「18歳じゃなくてJC3でしたーてへぺろ」というオチまでついて更にロリかわいい。
凪「先輩」がマジ良いポジション
「そうそう、こういうキャラクターを待っていたんだよ」ってお気持ち。
「卑しく無いイケメンキャラ」ってそういえば新海誠作品には出てきたことが無い気がしていて。とりあえずめっちゃ良いやつだしめっちゃイケメン。
いわゆるドギマギしそうなシーンを全部先輩が解決してくれていてすごい。コミカルなシーンも全部先輩が作ってくれていてすごい。本作がそういうところ(恋愛模様)に焦点を絞ってないからこそできたキャラクターだと思うし、すっごくいい味出していた。
今どきのオタクはこころが弱いから…こういったある意味チートなキャラクターが面倒事を一挙に引き受けてくれると安心するんだよね…きっと…(遠い目)
でも凪はやっぱり年下の弟ポジションなわけで。ちゃんと「弟」しているんですよね。そういう意味でも本当に良いキャラクターって思う。
相変わらず綺麗だし、相変わらずのリアル
新海誠監督、新宿と雨と電車と階段がほんと好きだよね。
それらを余すことなく注ぎ込まれたって印象。
「ジブリ感」や「よくある感」から脱却したように見えた
完全主観的コメントですが。そう思いました。
ちゃんとボーイミーツガールして、ちゃんと仲良くなって、ちゃんとみんなに助けられて、ちゃんと二人が幸せになって、最高
やっぱり、ここに尽きると思う。
『君の名は。』はよく考えたら「普通の人」のための作品だった
《『君の名は。』はハッピーエンドだった。でもそれは我々に何ら救いを与えてくれていなかった。》
立花瀧: 東京の都心に暮らす男子高校生。日々、友人たちと楽しく過ごし、イタリアンレストランでバイト中。同僚の奥寺先輩へひそかに好意を寄せている。建築や美術に興味を持っている。
宮水三葉: 山深い田舎町に住む女子高校生。町長である父は家を出ており、小学生の妹、祖母と3人暮らし。性格は素直だが、家系の神社の風習や、父の選挙運動などに嫌気が差している。友人たちと小さく狭い町を嘆き、東京の華やかな生活に憧れを抱いている。
(引用: 映画『君の名は。』公式サイト)
よく考えたら我々(≒オタク)にとって全く共感できない主人公設定だったんだなぁって。イタリアンレストランでバイトし、友人に囲まれながら高校生活を送ってるんですよ?絶対瀧くんは異世界転生しないだろうって感じ。
鬱屈した一種のオタクっぽさを持っているのはむしろ瀧くんではなく、三葉の方で。だから三葉ちゃんは可愛いのか!!!!11
『秒速5センチメートル』にせよ、『雲のむこう、約束の場所』にせよ、主人公はオタク気質を持っていて。だからこそダメージがデカかったんだろうと。
オタクは、子供の頃に淡い甘酸っぱい原体験があっても「機を逸した」ら結局結ばれない*1し、世界を巻き込むようなどデカイ事件を引き起こしながらヒロインを救っても「機を逸した」ら結局結ばれない*2
あぁつら。こうして私達は心に大きな傷を負ってしまったわけです。ひぇ。
だってそうじゃん。結構強い原体験を彼らは彼女らにもたらしているはずじゃん。ラノベなら普通にハッピーエンドですよ。でも現実は違う…きっと違うんです。それがこれらの作品が描くリアリティで、それを明らかに提示してきたわけです。
平成時代にブームを起こした所謂「セカイ系」ってわかりやすくハッピーエンドを迎えることは少ないですよね。ボーイミーツガール作品においても二人は鬱屈したエンディングを迎えることのほうが多くて。
こうした体験によってオタクの脳の報酬系はきっと歪んでしまっていると思うんですよ。頑張ってもどうしようもない…ってね。
『君の名は。』において、瀧くんは「機を逸しませんでした」。ちゃんとタイミングを逃さずやるべきことやりました。おかげで三葉とも結ばれました。「君の名は?」ってね。めでたしめでたし。
しかし彼はオタクではない。恐らくプログラムは書けない。大人になってもSQLを弄ることはない。小洒落た接客のアルバイトを難なくこなすコミュ力を持ち、きっとそこまで鬱屈した原体験も持ち合わせていないことでしょう。お幸せに!!1
そんなこんなで『君の名は。』は救いにはなりませんでした。
「思春期こじらせ男子が主人公を張った新海誠作品」にて私達が負った古傷は癒えることがありませんでした。
今作は違う。ちゃんと頑張ったら、ちゃんと結ばれる。破壊的なことにはならない。
「きっと大丈夫」
今作の主人公(帆高)は、選択に迫られます。陽菜か、世界か。
陽菜は自己犠牲で一旦消えちゃいます。狂った世界を直すために。
でも帆高はそれが許せません。世界が狂ってでも陽菜を選びます
そして、最終的には世界の形を変えてしまったわけです。
===
っとこれだけ見るとよくあるセカイ系ですね。
「でも細部が全く違ったなー」と私は思うわけです。
帆高と世界との戦いにちゃんと共感してくれる大人が居ます。夏美さんはかっこよくバイクで街中を疾走してくれますし、圭介も最後はなんだかんだ刑事たちをぶん殴って助けてくれます。
で、無事陽菜を助けられました。結果として世界は改変されました。ポジティブな改変ではありません。割とネガティブにも見える改変です。だって東京が水に沈むんだから。
でも思った以上にみんな特に気にしていません。3年後は割と普通に適応して生活していますし、パッと見たところ主要メンバーも不幸にもなっていません。むしろ堅実に幸せに向かってそうです。
そして3年間、帆高は陽菜に連絡してないらしいです。連絡ちゃんとしろよ!また機を逸するぞ!!思春期の女は原体験を簡単に忘れてしまうんだぞ!!!111
でもそんな心配は無用でした。ちゃんと陽菜は待ってくれています。
明らかに色々と破壊的なオペレーションを何度も彼らはしています。でもね。結局誰もわかりやすく不幸になっていない。
「きっと大丈夫」なんです。
最高かよ。こじらせた主人公がやっと報われて、困窮していたヒロインも恐らく幸せになっています。
やっとオタクが救われる日が来たんだ…
— yanoshi (@yanoshi) 2019年7月20日
天気の子は明確な救いでした。
— yanoshi (@yanoshi) 2019年7月20日
やっとそういう日が来たんだね…
— yanoshi (@yanoshi) 2019年7月20日
これを救いと言わずしてなんと表現するか…
あーーー私の中の平成時代のセカイ系によってズタボロされたオタク特有の脳内報酬系が音を立てて治っていくーーー!!!
— yanoshi (@yanoshi) 2019年7月20日
どうやら新海誠監督にしてやられたらしい
帆高や陽菜は憧れのまま走り始め駆け抜ける少年少女であってほしい
帆高も陽菜も貧しいというのは、実は『君の名は。』と大きく違う要素かもしれませんね
劇場パンフレットに載っている新海誠監督のコメントを見ると、随所に「あぁやっぱり狙ってたんだね」ということが書かれていて、明確な救いを感じました…ありがたやぁ
何はともあれ
minoriのゲームなOPで育ち、「雲のむこう、約束の場所」と「秒速5センチメートル」によって強烈な原体験を刻み込まれてしまったオタクにこそ、「天気の子」を見てほしい…
最高だったので、もう一回見に行かなきゃ。
次は立川で見るかー
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追記
インターネット上では「00年代エロゲのストーリー展開だ!」みたいなコメントが出始めてますね。非常にわかる。わかるぞぉー