さわっても熱くない花火

ちょっとした驚きを食べながら生きています

携帯電話を取り巻くちょっとしたカラクリ

梅雨ですね。

私事ですが、最近いろいろありまして、携帯電話業界の小売の現場を頻繁に垣間見る機会を得ました。
そんな中で思ったことを少し書き留めておきたいと思います。

正直愚痴です*1
あと私の想像の範疇を抜けていない文言も多数あります。
適当に受け流してください。



市場を埋め尽くすスマートフォン

最近、スマートフォン(とくにAndroid端末)が増えましたよね。
docomoに至っては、先日発表された夏モデルの中にいわゆるガラケーは一台も含まれていません。驚きですね。
2年前の春にXperia X10がdocomoから発売されたとき、まさかここまで極端になるとは、みんな思ってなかったんじゃないでしょうか。

ガラケーはなくなってしまうのか?

そんな中で話題になるのは、果たしてガラケーはこのまま滅びてしまうのかという話です。

上のような話をみていると、もうこのままガラケーはなくなってしまうんじゃないかなぁって気もしますよねぇ。。。
でも一方で、
スマートフォンにしたけど、全く活用してないし、使いにくいから正直ガラケーに戻したい」
という意見も耳にすることってありません?
実際に「みんなスマートフォン使ってるし」とか「時代の波に乗り遅れているのでは?」という受身的な理由でスマートフォンの利用を始めるユーザーが多数のように思います。
そんなユーザーがアプリを自発的にマーケットからダウンロードして、上手に使いこなしている姿はあまり想像できないですよね。たぶん買ってから「ガラケーはの方が良かった」と感じることが多いでしょう。




おいてけぼりのビギナーユーザー

それに加えて、そのようなビギナーユーザーをバックアップする体制はあんまり整っていないような気がします。
docomoは一応下のようなサービスを展開して、サポートするようなオーラは出してはいるものの、さほど宣伝はしていませんし、
あんしん遠隔サポート | サービス・機能 | NTTドコモ
auは特にこれと言って大々的にサポートシステムを作ってる感はないですし、Softbankも(ry
まぁ普通のサポートセンターに電話すればそれなりに答えてくれるはずですし、各携帯ショップで独自にサポートを行っている例もたくさんありますし、まったくスマートフォンに対するアフターサポートがないというわけではないですが、ガラケーと全く違うものを売り出しているわけですから、もう少しサポートシステムを充実させて、広告媒体を通して積極的に宣伝した方が良いような気がします。
そうじゃないと、確実に置いてけぼりなユーザーがたくさん生まれてきますよね。




完成度の低い公式アプリや、不具合の多発する一部端末

回線業者が提供しているアプリの一部には完成度の低い物が多々あります。
例えば、spモードメールのクライアントアプリ。アップデートの度にデータが吹き飛ぶ不具合が報告されたり、外部メモリーにアプリを移動できないため、内部メモリーを逼迫したり…そもそも重かったり…
docomo PalletUIもなかなかのくせ者です。その動作の重さから、確実にAndroid スマートフォンの評判を落とさせている気が個人的にはしています…

また、不具合が多発するREGZAPhoneなども問題かと思います。
日本メーカーがリリースしたAndroidスマートフォンには再起動を繰り返す物や、バグがある状態で出荷されている物が多い気がします。*2
たぶん、突然ガラケーからスマートフォン





それでも、回線業者はスマートフォンを売りたい

どうでしょうか?どう考えても、スマートフォンに携帯電話市場が完全移行するのは時期尚早な気がしません?
しかし、実際は確実にスマートフォンへ移行しようとしています
なぜでしょうか?

回線業者の利益構造

私は、各携帯電話回線業者の利益構造が原因だと思っています。
昨今の回線業者は所謂パケホと呼ばれるパケット定額制の基本料金で利益をあげています。
ですが、ガラケーのライトユーザーはパケット定額制を利用していない例が結構あり、利用していても、最大料金を支払っていない事が多いです。
しかし、どうでしょうか?スマートフォンにすると、確実にパケット定額制を利用することとなります。
つまり、スマートフォンの方が確実に儲かるということですね。
だから回線業者はスマートフォンの回線数が増えた方がうれしいと考えられます。
もちろん、スマートフォンでも半従量制の二段階パケット定額制を契約することができますが、1パケット当たりの値段は、もう数年以上改訂されておらず、割高なものとなっています。つまりスマートフォンの電源を入れるとバックグラウンドの通信だけで天井に達してしまうわけです。






利益構造が生み出す歪み

こんな利益構造が、様々な所に歪みを生じさせています。

スマートフォンの割引制度

回線企業各社、パケット定額制を契約するスマートフォンユーザーに、2年間に渡り毎月の使用額の割引を行うという制度を用意しています。docomoでいう月々サポートっていうやつですね。
この制度は、パケット定額制で稼いだ利益の一部をユーザーに還元しているのは明らかです。よく儲かっているんでしょうね。
この制度のおかげで、実質的には消費者は安くスマートフォンを購入することができます。
また、在庫の管理も兼ねているようで、在庫が余っている古い機種は、この金額が増額されている例が少なくありません。たぶん回線業者は端末の在庫管理も引き受けているのでしょうね。
しかし、考えてみたらおかしな話ですよね。結局のところ、昔公正取引委員会に注意された「0円端末」の時から、なんら実質的な現状は変化していないわけです。

優遇されるMNP

現在の携帯電話市場は、飽和気味のため、ナンバーポータビリティー制度での転入数を回線企業の業績と捉える事が多くなっています。
そのため、各社、MNPでの転入者への優遇措置を強化しています。
携帯電話代理店はMNPな顧客を得た場合、携帯電話回線企業からそれなりの額の成果報酬がもらえるようです。その一部をユーザーに還元している例もあります。
また、前述の割引制度(月々サポートなど)がMNP転入ユーザーに対して増額されていることが多いです。
例えばdocomoは5月中、MNP転入者への月々サポート増額キャンペーンを行っており、総額5万円ほど増額していました。
そのほかの割引制度や、学割を上手に使うと、データ通信し放題なのに端末代が実質0円で、月々の利用料が5円という驚きの回線+端末が用意できたのは、記憶に新しいと思います。
ですが、長年利用しているユーザーを差し置いて、MNP転入ユーザーを優遇するのは不思議な話ですよね。

肩身の狭いMVNO

こんな構造に疑問を感じる消費者の逃げ道がMVNOです。
仮想移動体通信事業者ってやつですね。日本通信とかがそれに当たります。
ですが、どうやら価格の主導権はやはり回線を貸しているサイドにあるようです。
「算定式を勝手に変更」、日本通信がドコモを訴えた譲れない事情 :日本経済新聞
このようないざこざがあるくらいですから、結構ふっかけられているのかもしれませんね。もしふっかけられているのであれば、MVNOも適正な価格では無いのかもしれません。でもそれを判断する方法が無いのも事実ですよね。

増えない基地局・太くならないバックボーン

さて、こんなにも儲かってそうですけど、なかなか基地局が建ちません。
次世代通信規格の基地局もなかなか増えないですし、なんだかなぁーって感じしません?インフラ企業なんだからもっとインフラにお金使えばいいのに…
また、各社LTEの契約には通信量制限を掛けるようです。困った物です。





で、結局何が言いたいの?

ここまで書いたとおり、現在の日本の携帯電話市場と、回線市場は色々とおかしなロジックで動いています。
どう考えても透明性が高いとは言えません。こう言うのを寡占と呼ぶのでしょうか?
どうやら、現在の利益システムではスマートフォンが彼らにとって一番儲かるようです。
結果、各社多かれ少なかれスマートフォンを売りたい意識が強い様です。特にdocomoはその動きが顕著です(auSoftbankiPhoneが勝手に売れますからねー)

その流れは日本の携帯電話生産各社に影響を与え、ノウハウが蓄積してないにもかかわらず、半年に一回新機種を投入するように強いられています。
そのため、クオリティが十分ではないスマートフォンが市場に大量投入され、結局消費者が混乱する事態に…
きっと、携帯電話屋さんの中の人もひぃひぃ言っていることでしょう…
そして、ノウハウの蓄積されているサムスンやLGなどの海外企業に色々と負けてしまい…本当に不憫な限りです。正直BestではないBetterな端末が一番売れているのが現状ですからね…



私がこの流れて一番危惧しているのは、
消費者のスマートフォン(特にAndroid)に対するイメージ低下
です。
Androidスマートフォン使いにくいよね?処理重いよね?」
と一度イメージがついてしまったら、もはやAndroidに待っているのは緩やかな死のような気がしませんか?
もしくは、ガラケーのようなAndroid端末が登場するか…(簡単に言うと、マルチタスクでバックグラウンド通信をしまくるガラケー



私はこの、ユーザー*3も携帯電話端末会社も幸せになれないシステムがどうも好きになれません。
それに私の感覚では回線業者も幸せでは無い気がしています。だって、絶対後ろめたいはずですもん。



私は確実にスマートフォンは便利だと思っています。
良いスマートフォンは生活に潤いを与えてくれるはずです。
いつか、色々としがらみが無くなって、みんなが大出を振って「スマートフォンは素晴らしい!」と言える日が来ればいいなぁ

*1:docomoに対する物が多い

*2:私個人的には日本メーカーのスマートフォンで人に大出を振って薦められるのはXperiaシリーズとAQUOSPhoneシリーズくらいな気がします…

*3:一部ユーザーはめちゃくちゃ得をしている